なぜ、冬のアゼルバイジャンなのか
―― 静かな時間が残る国へ
冬にアゼルバイジャンを訪れる理由は、決して分かりやすいものではない。
観光の季節として語られることは少なく、情報もまた断片的だ。
それでも、この国を冬に見る意味は、静かに、しかし確かに存在している。
寒さの中で、街は余分な音を落とし、輪郭だけを残す。
石の建築、風の通り道、火の記憶。
そして、そこに生きてきた人々の時間。
それらは声高に語られることなく、長い時間の中で静かに息づいてきた。
冬のアゼルバイジャンでは、歩く速度が自然と遅くなる。視線は遠くへ急がず、足元や壁の表情に留まる。 未来へと急がない歴史と文化の重なりは、そうした時間の中で、少しずつ姿を現していく。
この特集は、冬という季節を通して、アゼルバイジャンという国の静かな表情に触れていくための記録である。
